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こちらの文は、日釣振で既に公開された昨年からの外来魚特定に関する内容となっております。
実際のは、この数倍以上の情報量がありますが、今後の対応や方針に支障が出るため部外秘となっていることをご理解のください。
また、外来魚に対する偏見を見直してもらい、バスフィッシングという身近な環境で得られる大切なものを少しでも理解していただくために掲載させていただきました。
・参考 平成14年度 信濃川下流水辺の国勢調

平成15年3月10日

皇居外苑牛ヶ淵濠外来魚駆除事業報告
在来種87.4%、オオクチバスは全体の0.59%!
財団法人 日本釣振興会

【調査概略】

環境省による「皇居外苑・牛が淵濠における水質状況調査・ゴミ清掃及び在来種保全(移入種駆除を含む)作業」が2月24日より3月7日まで行なわれた。(別紙:事業概要参照)

今回の同事業の目的は、濠の水質調査、ゴミ清掃、在来種保全となっているが、多くのマスコミの関心は、外来種(ブルーギル、オオクチバス等)の生息数にあり、調査状況からみても、同省も魚類調査及び外来魚駆除を中心として実施されたと思われる。そうした中で、調査作業はお濠の大半を水抜きして、3月6日(実質7日間)で外来魚駆除作業が終了した。

同省・皇居外苑管理事務所が発表した6日までの魚類捕獲結果(別紙:捕獲状況参照)を見ると、牛ヶ淵は外来魚によって在来魚が危機的状況にあるとする当初予測とは大きく異なり、多くの在来魚(捕獲量の全魚種の87.4%)が確認された。特に12年の投網調査では僅か0.8%しか生息していないと発表されたモツゴは、今回の調査では捕獲数の70%を超える比率で生息が確認されている。 加えて、これまで外来種によって、他の在来種と同じく大きな被害を受け、生息数が危ぶまれていたと言われていたテナガエビなどエビ類も数千匹が捕獲、確認された。

一方、逆にオオクチバスやブルーギルは12.6%と少数であった。とりわけ、オオクチバスは全体の総捕獲数の僅か0.59%であり、これまで報告されてきた生息割合とは大きく異なった結果となっている。   

こうした結果も含めて、多大なコストを掛けて実施された今回の調査には、いくつかの疑問や不自然な点が散見され、マスコミ、釣り人、見学していた人々からもこれら疑問点を指摘する声や苦情の声が挙がっている。又、今回の同省の取り組みは、報道機関の興味本位の片寄った取り上げ方も、大半の国民に対して以下の構図を意図的に作っているように思える。

1皇居の在来種が最近激減し、外来種が大半を占めている。

2在来種の減少要因はすべて外来種によるもので、在来種が食べ尽くされようとしている。

3外来種 → 害魚 → 駆除すべき

4ブラックバス(オオクチバス) → 悪者

 5他の自然水域も同様のことが起こっているので、早急に対策を立てるべき。

【調査の疑問点】

1.    同省が以前から、皇居魚類調査報告等によって在来種として取り扱われ、又、外来魚によって著しく食害影響を受けていると報告されていたテナガエビなどエビ類が数千匹捕獲されたにも拘らず、全く捕獲数として発表されていない。エビ類が従来どおりカウントされれば、在来種比率は90%以上になる。

2.    今回の調査は在来魚を保全する事業として行なっているはずだが、実際には多くの在来種がヘドロに取り残されて干上がり、又、捕獲の際に死んでビニール袋に入れられていた。一部ではあるが、作業している人達の在来魚の取り扱い方も非常に雑である。現地の駆除作業者によると、「池を干し、網で取る以上、ある程度死ぬのはやむを得ない」と発言しているが、本来の目的が在来種保全である中、実質的に在来種に大きな影響を及ぼしている作業のあり方に大きな疑問が残る。

3.    公的な団体によって、過去数度に亘ってお濠に人為的に放流を実施されたと言われている、鯉、草魚、レンギョなど、1m近い大物が100匹近く捕獲されたが、ほとんどマスコミにリリースされることも無かった。又、ソウギョ・レンギョ・ワカサギ等が外来種(移入種)という報道もなかった。一方、今回外来種と言われているオオクチバス、ブルーギルの合計は12.6%で、その内の95%以上がブルーギルであるが、その事には触れずに、数量が少ないにもかかわらずオオクチバスのみが大々的に発表されていた。

4.    今回の結果は、これまで報告されてきた牛ヶ淵における外来魚比率(平成12年調査:65%)とは大きく異なっていた。環境省は調査後半になって、急遽「昨年ブルーギル1,200匹、ブラックバス75匹を捕獲した。従って、昨年70%以上の外来魚を駆除し、その駆除効果があったから外来種が減少した」と発表しているが、何を根拠に70%というような事を言っているのであろうか。又、その後数日経過して、「先日の発表は成魚だけで、稚魚を入れると22,000匹捕獲された」と再訂正をされた。今回、ほぼ完全に水抜きされた状態で、稚仔魚を全て含めて外来魚捕獲数は1,363匹であった。昨年は11回の捕獲調査で約25,000匹(外来種が90%近い22000匹)と報告があったが、今回の調査(2月25〜27日)でもわかるように、平水事の水量の時には捕獲量は極めて少ない。在来魚、外来魚を問わず、水抜きをして水位が相当に低くなってから捕獲量も増加していた。従って、昨年のような平水時に、投網等での大量の捕獲は極めて難しいと思われる。

5.     20〜30年近い前からオオクチバス等の外来種が移入されたと言われているが、お濠という人造環境の中で、ヘドロの汚染もひどく、また自転車・扇風機等の大型ゴミも投棄され、水質も悪い状態。その上、水生植物も皆無の状況で、在来種にとっては産卵・生息場所も少ない極めて悪い条件の中で、87%近い在来種がいるという事は果たして危機的状況と言えるだろうか。

6.    元々、江戸時代初期に作られた人造的な濠において、何が在来種で何が移入種(外来種)なのかの見解が不十分であるにも拘らず、オオクチバス、ブルーギルのみが移入種であるといった根拠の無い見解を国民に向けて発表していることは、公器としての公正さに欠けている。又、本来いなかったはずワカサギがいることに対しての公式な見解もなされていない。併せて、過去に公的機関によって放流された、鯉、草魚、レンギョは移入種(外来種)にもかかわらず、在来種として集計されている事も、バス=外来魚=悪者と言う意図があるのではないだろうか。

等々の声が挙がっている他、捕獲・カウントにあたっていた大学の関係者からも個人

的な見解としながら、以下の様な発言があった。

〇ブラックバスの総数は非常に少ないという印象を持つ

〇コイは、累計上繁殖出来ていない(産卵床となる水草がない)(産卵できないので放流によるものと考えられる)

〇在来種とニッチェが競合するブルーギルの存在が大きい(バスがその魚食性から取り沙汰   されるが、それ以上にギルの影響が考えられる)

〇濠内に希少種と呼ばれる魚種は存在しない(ジュズカケハゼは関東圏内においてその生息数が減ってきてはいるが、濠にとって固有種ではなく、特に希少性はない)

〇濠はもともと人工的環境で、外来魚除去の意味合いは薄い

〇在来魚(特に小型魚)を他の濠に移すことに、実質的意味合いは少ない(閉鎖水系において総生産数は限られるため) 

極めて冷静かつ客観的な見方ではないだろうか。

今回の事業全般に対して

1、在来種に多大な影響やダメージを与えた上に、大きなコスト、エネルギーをかけてまで今回の駆除事業を実施しなければならなかったのか。

2、今回の調査の実施方法・捕獲数実態に対して環境省はどの様に考えておられるのか。

3、当会の中でも、皇居のお濠にオオクチバス、ブルーギルが生息していいのか意見の分かれる処だが、お濠という人工的に作られた池の中で、又、在来種、移入種の明確な区別がない中で、果たして駆除という行為が必要なのだろうか。

4、外来魚報道に対する情報のリリース(バス→害魚→駆除)は意図的なものではなく、事実に基づき、中立・公平なものにするべきではないのか。

5、調査前に、「3月7日の終了時点で、魚種別捕獲集計結果を発表する」としていたが、結果が当初予測と大きく異なった事が原因なのか発表は何もなされなかった。同省のHP(ホームページ上)からも皇居掻い掘り調査に関する情報は全て削除されている。

など、多くの疑問が残るものであった。

※自然界の中において、特に今回の牛ヶ淵のような閉鎖的な人造池では、それぞれの魚類は多様な食物連鎖の中で、程度の差はあっても相互に捕食関係にある。

 牛ヶ淵で最も多く、又、在来種と言われているモツゴは雑食性で水生昆虫等を捕食し、そして同様に、ヌマチチブ、ウキゴリなどは、仔稚魚、エビ・ハゼ類の幼魚を餌としている。
以上

CAFE FISHING